近代医学のものの考え方ふつう西洋的な近代医学では、病気とは疾患をもつことであり、その疾患は特定の原因によって引き起こされたものとみなします。
例えば、結核患者は結核菌によって胸を侵されており、エイズ患者はエイズウイルスによって免疫系をおかされていると診断します。
これを「特定病因論」といいます。
医学はこうして疾患の原因となるものを根絶し除去するべく、薬物の投与や手術といった積極的な患者の身体への介入をおこないます。
患者は医学が治してやる受動的な対象でしかありません。
人間の体の治療は基本的には機械の修理と変わりありません。
悪いところは除去してやり、できれば代わりの部品(臓器)に取り替えてやります。
治療(修理)にあたっては最新の科学技術(テクノロジー)が使われます。
医学において用いられる科学技術は生物学です。
こうした生物学を基礎とした医学のことを「生物医学」(biomedicine)と言います。
19世紀末、パスツールは牌脱痘菌を発見し狂犬病のワクチンを発明しました。
またコッホは結核菌、コレラ菌を発見しました。
細菌学の目覚ましい成果は「病気にはそれを引き起こす特定の病原菌がある」という原則を打ち立てました。
この原則は拡大・修正されて「病気には特定の病因がある」という原則、即ち「特定病因論」となって、伝染病以外の病気一般にも適用されるようになったのです。
今日では医学の基礎となる生物学は細菌学から、遺伝子などをあつかう分子生物学へと変わりつつあります。
しかし例えば、大腸ガンを引き起こす特定の遺伝子をつきとめる、という最近の遺伝子治療研究のやり方はまさに「特定病因論」の発想そのままです。
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